金属の3Dプリンターは「金型不要」で複雑な形状を製作することができる、「短納期」に対応できるなど、試作向きの特徴が有りますが、必要な製品寸法を実現していくためには、複数回造形を繰り返し、3DーCADデータの修正や追加工等が必要となります。
一方で、必要な製作条件が出た後は、オートメーションで(極力人手をかけずに)同じ条件の製品を、安定して製造していくことができるので、実は量産に非常に向いている製造方法でもあります。
■海外の金属3Dプリンター量産事例
・フォルクスワーゲンはHPのメタルジェットシステムを使用して3Dプリントコンポーネントを量産(2018.9.18)
(引用元:デザインと3Dのプロが伝える3Dプリンタや最新テクノロジー 3DP id.arts)
・コンプレッサーの吸気部に取り付けるハウジングを金属AMで造形した。2015年4月、FAAの認証を金属AM製の部品として初めて取得した
(引用元:日経X TECH)
・LEAPエンジンは2015年にFAA認証を取り、2016年から量産を開始。燃料ノズルは、2018年10月時点で3万個を出荷しています。2017年に就航したボーイング737MAXとエアバスA320neoに搭載。燃焼系の部品に3Dプリンターで製造したパーツが量産品として使われたのは世界で初めて。
(引用元:みんなの試作広場)
■金属3Dプリンターでの量産化できる可能性がある製品のキーワード
・複雑形状製品 (加工に時間がかかる、品質が安定しない)
・古い部品、すでに金型がなくなってしまった部品
・水冷式、ノズル、ハウジングなど内部形状を有する部品の一体製造
・複数の部品で構成されていて、アッセンブリや部品在庫管理が大変
・金属3Dプリンターに合わせた設計変更が可能
「トータルコストダウン」サプライチェーン全体のメリット
部品点数が大幅に減り、最終製品ができあがるまでにかかるプロセスがかなり短縮できるなどすれば、コストだけではなく、納期も大きく短縮することができる。製品に対する部品点数が多く、加工工程が複雑かつ多いということは、物流、管理、加工、品質保証などサプライチェーン全体で膨大なコストがかかっているケースが多いため、パーツを統合できる3Dプリンターでは、そのコストを大幅に圧縮できる可能性があります。
「自由な製品開発と量産に直結する製品試作」製品開発部門からのメリット
設計者が3Dプリンターで試作したものを3Dプリンターで量産するということになれば、試作と量産における製造プロセスが同じということですから製造技術面の制約は少なくなりますし、設計者が量産化設計までを考えたデザインをしていくことで、製品開発の大幅な効率アップが可能となります。
「加工法上の制約からの解放」製造工程部門からのメリット
従来の製造方法では、プレス加工、ここは押出材、鋳物、切削加工、溶接など、部品それぞれに様々な加工法の組み合わせを行ってきました。しかし溶接箇所の強度は弱いので何万回の耐久テストに耐えられない。ここは軽量化のために中空にしたいが鋳物では流し込むのが難しい等といった数々の加工法上の制約が有りました。これらが、3Dプリンティングによって一気に解決する可能性があるのです。
このように、金属3Dプリンターでの製品量産は、大きな可能性を秘めています。ODECは金属3Dプリンターでの製品量産に積極的にチャレンジしていきます。もし、一緒にチャレンジしてみたいと考えている方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問合せください。
開発職・設計職の方のお役に立てるよう、図面作成の手間を減らし、「3Dデータからそのまま製作」を行うサービスをスタートしました。金属3Dプリンター造形だけではなく、切削加工にも対応しています。(詳細は下記にてご確認ください)