製品開発・試作のサイクルタイム大幅短縮と量産まで

DfAMとAM導入はセットで考えるべき!?

前回のコラム(「DfAMについて考える【第68回】」)で、DfAMとは何かという点をご紹介いたしました。今回は、具体的にDfAMを取り入れることで変わる製造アプローチ法やその実例についてご説明していきます。

 

 

3.「DfAM」の実例・適用事例

 

■トポロジー最適化、ジェネレーティブ・デザイン


トポロジー最適化とジェネレーティブ・デザインは、3Dプリンティングを用いることで複雑な形状の造形ができるようになったため、ここ数年でとても人気が出ています。

トポロジー最適化とジェネレーティブ・デザインの利点として、特定の力に耐え得る形状の造形や、部品の軽量化などが挙げられます。また、実際の造形を失敗しないために、設計時にパーツの形状(壁の厚さや自立する形状など)が一定の寸法を下回っていないかなどの「3Dプリントの適性をチェック」するメリットも持ち合わせていることが多くあります。

 

■ラティス構造


ラティス構造とは、3Dプリンターで作るパーツの内部を埋めるセル構造、インフィルのことを言います。ラティス構造のコンセプトとそのアプリケーションは、3Dプリンティングに対して多くの利点をもたらします。DFAMにおけるラティス構造は、鋳造におけるリブと似ていると言えます。

ラティスのパラメーターを変えることで、パーツの機械的特性を変えることができます。3Dプリンティングの方式によってはその効果の出方が異なりますが、DFAMにとって重要であることには変わりありません。

 

■3Dプリンティングにおける様々な最適化方法


DFAMにおけるもう一つのスキルは最適化です。最適化するための戦略は非常にたくさんあり、多くは3Dプリンティングの方式やメーカーごとに特化していますが、一般的に最初にとるステップは既存の問題を解決し、3Dプリンティングの最適化の方法を探ることです。例えば、造形時のパーツの向きを縦から横倒しに変えるようなシンプルな設計変更でも、時には造形での劇的な違いを生み、成功へ導くことがあります。

 

 

4.「DfAM」がAM(3D製作)を最適化する

 

■AM(3D製作)の導入と「DfAM」はセットで考えるべきもの。


ある程度の量産をAM(3D製作)で行う場合、既存の工法(切削や金型を用いた射出成形)並みの生産性やコスト力が求められます。単純にAMを製造工程に組み込むだけでは、生産性やコスト改善を図ることはできません。DfAMの考え方を取り入れることで、従来工法では分割せざるをえなかった複雑形状を一体化して、部品の形状と機能の最適化を図る。これにより、造形体積の減少、質量と素材コストの減少、造形時間の短縮、さらに、部品点数を減少による総合的な製造コストを削減が実現できます。

 

■AM(3D製作)による苦手な部分をサポート


3Dプリンターは高さのある部品の造形に時間を要することから、分割して各パートを同時に造形して接着や溶着したり、積層方向によって強度や表面の粗度が異なることを考慮したり、摩耗の想定される箇所には金属部品を組み込んだり、必要に応じて異なる特性の部品も併用することも。

 

■AMの特性(精度等)を理解したうえでの設計


AM(Aditive Manufacturing)の精度は、原理的に切削や研削ほどの精度は出せないことを理解した上で、精度保証が必要な穴や溝は切削による2次加工を前提に削り代のありかたを考慮すること。

 

次回もDfAMについて考えていこうと思います。

 

<関連コラム>

DfAMについて考える(DfAMが3Dプリンティングを普及させる!?)【第68回】

DfAMについて考える(DfAMとAM導入はセットで考えるべき!?)【第69回】

DfAMを実現するソフトウェアについて【第70回目】

DfAMのこれから。どのように取り組んでいくのか?【第71回】

 

 

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