製品開発・試作のサイクルタイム大幅短縮と量産まで

DfAMのこれから。どのように取り組んでいくのか?【第71回】

過去3回にわたって、DfAMについて、解説を行ってまいりました。

DfAMについて考える(DfAMが3Dプリンティングを普及させる!?)【第68回】

DfAMについて考える(DfAMとAM導入はセットで考えるべき!?)【第69回】

DfAMを実現するソフトウェアについて【第70回目】

 

今回は、DfAMの今後、これからどうなっていくのか(特に日本国内)、AMにかかわる方々、開発者の方がどのように考えて、取り組んでいくのかについて、検討してみたいと思います。

 

 

DfAMの将来は?

AMを自社の製造に取り入れて、製品の付加価値向上を目指していくために、DfAMが必要条件となるのは、これまでもお伝えしてきたとおりです。そのため、日本の製造業全体として、DfAMを理解し自社の製造やサプライチェーン全体を一度振り返る必要が出てくるでしょう。

 

また階層別、部門別にも、全体でDfAMを理解し、それぞれの立場で検討を行う必要もあると思います。マネージメント層がDfAMを理解、推進する切り口としては、全体の部品点数を減らし、一体化を推進することによる、在庫、アッセンブリ、生産サイクルタイムなど全体を俯瞰したカイゼンであったり、設計者として理解することは、製品の軽量化や高機能化を行うためのトポロジー最適化のメソッドや、実際にAMで製作を行うための具体的な形状やサポートノウハウなどであったりするかもしれません。

 

近畿経済産業局が進める「Kansai-3D実用化プロジェクト」においても、DfAMに対するセミナーなど、さまざま情報提供が行われていますが、日本国内では、まだDfAMに対する認知や理解が進んでいないという現状があります。

 

コロナ禍であるものの、金属3Dプリンター(設備)の市場規模は、4年後の2025年には2500億円規模に達する見込みだそうです。これに造形品市場も加えると、10年後には3兆円になるという試算もあるようです。

 

 

海外との競争力を高めるためにもDfAMは必要!?

 

つまりAMの市場規模が拡大していく中で、AMに必要なDfAMもどんどん必要性が高まっていくため、これに取り組んでいかないと、製造分野における海外との競争に勝てないだけにとどまらず、日本国内市場においても、海外の高付加価値製品に敗れていくことなりかねません。

 

これまでは、既存の工法をAMにすべて置き換えて、製造を自動化できるというような誤ったイメージが先行していたということもあります。そのため、AMを自社製品に取り入れることに、まだ疑問符がついている方もいらっしゃると思います。実際のAMは、すべての製作を自動化できるわけではなく、二次加工も必要となり、大量ロット(月産数万個など)の製造も金型には勝てません。ただし、AMの特性を正しく理解し、自社の製品を、その製造工程を、DfAMの観点から見直すことによって、確実によりカイゼンされた製品を生み出すことにつながっていくことと思います。

 

海外でDfAMは常識に近いレベルまで理解が進んでおり、様々な情報提供もなされている中で、「組織としてAMをうまく使うため」の記事の要約を引用いたします。

 

「良く使える組織は、経営管理層→開発設計者→造形技術者への情報や指示の流れが一方通行ではなく、造形技術者が学んだ良い形状(DfAM)を開発設計者にフィードバックすることでDfAMスキルが上がり、それにより開発設計者が経営管理層にAM活用の提案ができる、双方向の流れが出来る組織。そうでない組織は経営管理層からただAMを使うことだけの指示が降り、開発設計者が従来技術で設計した形状を造形技術者に依頼する。造形技術者はどうにかして造形した結果だけを開発設計者に返すため、DfAMは伝わらず、開発設計者も経営管理層になにもフィードバックや提案をしないままに終わっている。(引用元:「DfAM」とは?学ぶには? 筆者:丸紅情報システムズ株式会社 丸岡 浩幸氏)」

 

 

ここまで、「DfAMの今後」について考えてきました。ただし、必要性を理解し、もっと「DfAM」について学びたいと考えても、残念ながら日本国内では、情報源も少ないため、なかなか学ぶことは難しい状況もあります。

 

そのため、「DfAM」についてもっと知りたいとお考えの方がいらっしゃいましたら一度ご相談ください。

我々も日々勉強に取り組んでいますが、これまでのAMやDfAMに対する取り組みをもとに、できる限りのご協力をさせていただきます。

 

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