製品開発・試作のサイクルタイム大幅短縮と量産まで

金属3Dプリンター造形の価格は?(ステンレス、鉄などで試作した時の価格)【第76回】

今回は、金属3Dプリンターで造形(製作)を行うにあたって、どのくらいの造形費用が必要なのか、その価格についてご説明させていただきたいと思います。

 

金属3Dプリンターでの造形価格について

まずは、金属3Dプリンターの造形品価格を左右する要素とその構成について説明いたします。

基本的に造形品の価格は、以下の要素により決定します。

 

・造形品の体積・・・金属粉末使用量、造形時間(レーザー照射面積が大きいほど造形時間は長くなる)

・造形品の高さ・・・造形時間(積層数が多くなると、造形時間も長くなる)

・造形品の要求精度・・・造形回数(精度調整)、二次加工の有無

 

上記をもとに、設備費用、人件費などをのせたチャージ金額及びサポート除去、ベースプレート切断、二次加工(必要な場合)、熱処理(必要な場合)などの作業工程費用が加算されて、造形品の価格が決定します。3Dデータの作成や修正が必要な場合、3Dデータの処理費用が必要となるケースがあります。

 

 

造形価格(コスト)を抑えるための方法

自社でAM装置(金属3Dプリンター)を導入して造形する場合でも、我々のようなサービスビューローに委託する場合でも、以下のポイントを意識することで、造形コストを抑えることができます。

 

1.造形品の体積をなるべく少なくする

これは、容易に想像がつくことだと思いますが、造形品の体積を小さくすることで、レーザーの照射面積が少なくなり、また材料の使用量も少なくなるため、造形品の価格は下がります。「ラティス構造」や「トポロジー設計」など既存の設計または設計方法からの変更が必要となるため、ハードルが上がるケースもありますが、実現ができれば、大きなコストダウンや製品の付加価値向上につながるかもしれません。

 

2.積層方向を意識した形状にする

これはイメージが難しいかもしれません。AMは基本的には、積層により造形を行っていきます。そのため、形状により最も効率の良い積層方向を見定めて、造形姿勢(造形品の配置方向)を決定します。積層の方向に対し、一定以上の角度(アンダーカット)がある場合は、サポート材が必要となることから、アンダーカットの角度を調整することや、フィレットの配置などを行うことで、サポート分の材料費やサポート除去費用を削減できます。

金属3D造形の価格(サポートレス)

また積層回数(高さ)が多くなればなるほど、造形品の価格は高くなりますので、積層方向をできるだけ低く設定できれば、造形時間が短縮されて、造形コストの削減が見込めます。

 

AMにおける造形価格も考慮した製品設計は、DfAMと呼ばれており、専用ソフトウェアやAMに関する知識も必要となってきますので、一度ご相談を頂けましたら、ご要望に合わせたご提案させていただきます。

 

 

金属材質別の造形価格

当然のこととなりますが、使用する金属粉末の材質によっても、造形品の価格は異なります。同じ材質(例えば、SUS630、SUS316Lなどのステンレス材質やAlSi12、AlSi10Mgなどのアルミ材質)でも製造する材料メーカーにより価格は異なりますので、注意が必要です。これは、材料メーカーの生産体制による製造コストという面もありますが、装置や造形品により、使用可能な粉末の粒度分布が異なるという側面もあり、狭い粒度分布での材料粉末をオーダーすると歩留りが下がり、その分材料価格も上がります。

 

また、これはあまり知られていない点かもしれませんが、材質によりレーザーパラメータ(レーザー照射時間など)が異なるので、早く造形できる材質と時間がかかる材質とでは造形時間が変わり、これも造形価格の差に響いてきます。(例えば、同じステンレス材質でも、SUS630は造形時間が早く、SUS316Lは造形時間がかかる傾向があります。)

 

レーザーパラメータはできるだけ早く造形できるように設定したいものですが、早く設定すると、造形密度が下がるなど、トレードオフの関係になるケースがあり、品質を維持した状態で、いかに早く造形できるパラメータを開発できるかは、AM技術者のノウハウになります。(我々も品質を第一に考えて、パラメータの開発は日々行っています。)

 

 

まとめ

金属3Dプリンターの造形品は、このような構成要素で価格が決定されているため、切削や鋳造など、既存の工法で考える価格イメージとかなり異なることが多いです。

どんな製品や部品をAM(金属3Dプリンター)で作ることが改善につながっていくのか?これは非常に難しいテーマではありますが、「こんなものを3D製作するとどのくらいの価格になるのか?」「こんなことができないか?」というようなお悩みがありましたら、一度お声がけいただきましたら、一緒に最適な解決策を検討させていただきたいと考えておりますので、お気軽にお声がけください。