2021年も残りわずかとなりました。本年最後のコラム更新ということで、今回は、弊社から見た2021年のAM関連の動きをまとめてみたいと思います。
本年は、全世界的なコロナに対する対応、燃料費・材料費高騰による原価の圧迫、半導体不足・部品供給の遅れなどのサプライチェーンの問題など、製造業にとっては大きな課題山積みで、新しい開発どころではないという企業も多かったのではないかと思います。そんな中、本年後半からはコロナ対策もひと段落したこともあってか、AMによる新しい製品開発の動きも増えてきているという印象があります。
2025年、大阪で開催予定の国際博覧会(大阪万博)を見据えて、近畿経済産業局が進める「Kansai-3D実用化プロジェクト」。産学官連携による広域ネットワークを構築するとともに、3D積層造形を活用した新たなモノづくりの普及を行っているプロジェクトですが、このプロジェクトに、ODECも3Dプリンター造形におけるサービスビューローとして協力させていただきました。
3月には、「3D積層造形によるモノづくりプロセスのモデル化」成果発表会が開催され、大手・中小様々な会社のAMによるものづくりに対する取り組みが発表されました。
“ Kansai-3D実用化プロジェクト“日本初の「3D積層造形によるモノづくりプロセスのモデル化」成果発表会(近畿経済産業局HP)
弊社は、この中の一社の「鋳造部品をAMプロセス置き換える」取り組みを行った、中北製作所様の安全弁構成部品(バタフライ弁)のAM造形をサポートさせていただくことができました。開発成果としては、満足いく結果であったと発表されていて、今後バルブや配管分野でのAM活用の幅が広がることが期待されます。
製品開発や試作においては、AMを活用することが、常識になりつつあると感じています。例えば、製品開発段階でポンチ図を作成、製作・製造方法についても同時に検討をする必要がありますが、その際にAMという選択肢が真っ先に検討として挙がるなど、かなり一般化してきているなと感じています。ただしAMを見据えた場合、どのような形状で開発をすることが最適かという点については、まだまだ手探り状態ということも多く、この点(DfAM)は来年も大きな課題の一つであると実感しています。AMを最大限活用するためのソフトウェア(すでに様々なソフトウェアがリリースされていますが・・・。)や、技術情報をどのようなレベルで全体で共有していくのか?というようなAMのプラットフォームのようなものの必要も感じた一年でした。
ODECはこのような製品の開発段階からどのようにAMを取り入れていくかというようなご協力もさせていただいておりますが、来年も引き続きお客様の開発上の課題を伺いながら、我々のこれまでの知見を活かしたご提案ができるように、取り組んでいきたいと考えています。
リバースエンジニアリングといっても、解析などが必要なものではなく、現物からの部品製作を行うための、3Dスキャン及び部品データの製作となります。このデータをもとに、3D造形を行い、カスタマイズ部品の製作や、壊れてしまった部品の補修パーツとして利用をしたいということがニーズです。このようなニーズは、個人または個人事業主様を中心に、さまざまな分野からご依頼いただくことが増えました。正直なところ、弊社のAMサービスは産業製品や部品の製作に特化しているという点もあり、ご期待に沿えない場合が多々ございましたが、徐々にAMが浸透していくにつれて、このようなオンデマンドの需要がかなり増えていくのではないかと考えています。まだまだ3Dスキャンやデータ補正に手間がかかるため、コスト面で課題がありますが、この点が解消されるようなサービスが登場すれば、さらに広がりを見せていくのでないかと思います。
皆様におかれまして、本年はどのような年だったでしょうか?テレワークなど仕事への新しい取組み方が徐々に定着しつつある状況なのかなと考えております。今回はコロナという全世界的な感染症が一気に世の中を変えてしまったことで、みんなが一斉に取り組むと、これほどまでに急速に物事というものは変わっていくのかということを考えさせられた一年でもありました。来年もさらなるデジタル化が進んでいくことが予想され、ものづくり分野においてもDXがより進んでいくことだと思います。このような世の中の流れを見据えて、来年もAM事業におけるものづくり及びサービスの質を上げていきたいと思います。
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