製品開発・試作のサイクルタイム大幅短縮と量産まで

AMにおける純銅の誘導加熱コイルで開発リードタイムの短縮

高周波熱錬株式会社が、純銅の誘導加熱コイル製造するための金属3Dプリンターを導入すると発表があり、株価が続伸しているようです。

 

ネツレンが3Dプリンターを導入へ(出典:yahoo!ファイナンス)

プレスリリースによると、IH(誘導加熱)熱処理技術の研究開発用途としての金属3Dプリンターの導入とのことで、研究開発のリードタイムを大幅に短縮していくことを目標としているようです。また、CAE解析と組み合わせることで、最適な加熱コイルの製造技術の確立や、形状の最適化も行っていくようです。

 

 

純銅での金属3Dプリンター造形の難しさ

純銅は導電性と熱伝導率に優れているため、ヒートシンクや高周波焼き入れ用コイル、導波管、クライストロン等、産業界でも広く使われており、金属3Dプリンターにおけるアプリケーションとしても非常に有力な素材ですが、これまで、銅を金属3Dプリンターで造形するのは、非常に難しいとされてきました。(現在でも、主流のPBF方式で造形を行う場合、対応可能な設備やサービスビューローは限られているのが現状です)

 

なぜ難しいかというと、その高い導電性に原因があります。

 

導電性の高さゆえに、熱が逃げやすく、レーザービームを照射しても、純銅では2%程度の熱しか吸収することができないといわれているようです。レーザービームの種類(グリーンレーザー、ブルーレーザー)や電子ビームなど波長の違いにより、純銅に熱を与えやすいビームの種類もあります。中でも電子ビームは純銅の造形に適している方式と呼ばれていますが、造形物の形状に制限があったりと課題は残っているようです。

 

 

レーザービームでは銅合金で造形を行うことが一般的

現在PBFのレーザービームで造形を行う場合、銅合金を使用することが一般的です。CuにCrを添加することで、導電性が阻害され、熱を吸収しやすくなり、造形が可能となります。この銅合金の問題点は、造形が終わったままの状態では導電率が低い状態であるため、Crを析出させるための熱処理を行う必要がある点です。この熱処理にも条件設定が必要となります。

ただし、この熱処理を行うことにより、純銅に対し95%程度の導電率を得ることが可能です。

弊社における銅の造形も、この銅合金を使用し、造形を行っております。

 

 

FDM方式での純銅の造形品

他にも、FDM方式の3Dプリンター(Desktop Metal社/Markforged社 など)でも純銅の造形を行うことができるようです。ただし、FDM方式は、金属粉末とバインダーにより造形を行った後に、脱脂・焼結を行うという工程が必要で、この影響により導電率は低くなってしまう傾向があるようです。(密度にも課題があるようです)

 

このように、技術的にはまだまだ課題がある金属3Dプリンターによる銅の造形ですが、各社の技術開発により、徐々に対応できる設備やサービスビューローが出始めてきており、このニュースにもあるように今後の技術進展に期待ができます。

 

 

私たちODECも、銅合金による造形技術の開発には力を入れておりますので、銅のAM製品開発に取り組みたいという開発者の方がいらっしゃいましたら、お気軽にお声がけください。