以前のコラムにて「【第2回】金属3Dプリンターで造形できる材料(アルミニウム編)」と、アルミ合金で使用可能な材料に関してご紹介いたしました。今回のコラムでは、現在、金属3Dプリンターで造形されているアルミ合金の材質に関するご説明や、弊社での造形事例などをご紹介していきます。
アルミニウム合金には、様々な材質がありますが、金属3Dプリンターで一般的に造形される材質は、シリコン系のアルミ合金(AlSi12 /AlSi10Mgなど)となります。このアルミニウムは「JIS H 5202 アルミニウム合金鋳物(外部サイトへリンクします)」に規定のある材料で砂型鋳物、金型鋳物で主に使用されている材質です。
■AlSi12
Al-Si系のアルミ合金で、耐食性と鋳造性に優れたタイプ。耐力は若干弱いが、微細形状に向いており、熱交換器などの薄壁パーツを製作可能。米国での規格であるASTMではA413.0に相当、日本でのADC1に相当するアルミ合金。
■AlSi10Mg
射出成型及び3Dプリンターにて一般的に使用されるアルミ合金で、良好な鋳造特性を持つ。強度、硬さ、力学的特性が良好なことから薄壁で複雑な形状の高負荷を受ける部品や良好な温度特性と軽量性を必要とする用途の部品にも使用されている。
■AlSi7Mg
砂型・金型・ロストワックス型鋳物に使用されることが多い。このアルミ鋳物はJISでいうところのAC4Cとなる。
そのほか、3Dプリンターで造形可能なアルミ合金粉末としては以下の材質があげられます。
■Scalmalloy®
Scalmalloy® は3D 積層造形用に AP Works が開発したアルミ合金粉末。高強度・高延性が特長で、5000(Al-Mg)系合金にスカンジウム(Sc)とジル コニウム(Zr)が主に添加されている(Al-4.5%Mg-0.7%Sc- 0.3%Zr)
■A5052(A5052-40B5)
■A5056(A5056-40B5)
■A5083
■A6061
■A7075(超々ジュラルミン/Al-5.6Zn-2.5Mg-1.6Cu)
現在のところ、製品として品質保証が可能なレベルで提供できるアルミ合金材質は、AlSi12となります。AlSi10Mgに関しましては、現在はテスト造形中ですので、今年中に対応する予定です。そのほかのアルミ材質を使用した金属3Dプリンター製品の造形に関しましては、造形条件の開発が必要となります。製品や部品の特性上、材質の指定があるなど、金属3Dプリンターでの製作にお困りの場合は、お気軽にご相談ください。
ODECにて、アルミ合金を造形させていただく場合には、基本的にはAlSi12を使用させていただいております。AlSi12は、良好な熱特性と高い強度重量比を備えた軽量部品用金属粉末であり、試作パーツはもちろん、量産パーツの製作にも対応可能です。
造形例:3Dメッシュマスクの造形(アルミ合金-AlSi12)
なお、3Dプリンターで造形した場合のアルミ合金に関する物性や強度など各種データが必要な場合も、お気軽にお問合せください。データをもとに、どのような特性となるのか、ご説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。