新年あけましておめでとうございます。2023年の初コラムとなります。
本年も金属3Dプリンター関連の情報を中心に、皆様にわかりやすくAMについてお伝えできればと
考えていますので、よろしくお願いいたします。
今回のコラムは、世界最大級の3Dプリンティングの展示会「Formnext 2022」(2022年11月15~18日、ドイツ・フランクフルト)で、発表された、サポート除去の自動化設備について、お伝えしたいと思います。
3Dプリンターの必要悪「サポート」を自動で除去、AIで多様な形に対応
(出典:2023.1.5 日経クロステック/日経ものづくり)
英スタートアップのRivelin Roboticsが、金属を使った3Dプリンター造形を行う上で、非常に大きな負担となる、サポート除去などの後工程を自動化する装置を開発。「Formnext 2022」にて同装置が披露されたとのことです。
金属3Dプリンター造形品におけるサポート除去工程は、樹脂3Dプリンターのそれと比較すると、非常に大きな労力がかかり、同時に、除去痕による表面粗さや寸法精度など、品質面への影響も大きい工程です。日本のみならず海外においても、このサポート除去工程は手作業で行われていることが多く、これをロボットにより、自動化、標準化するというものだそうです。
つまり造形品を3Dスキャナで計測し、NetShapeというソフトウェア上で、3DーCADデータと照合された結果を見ながら、直感的な操作でサポート除去の指示ができるということです。力感センサーを備えており、加工速度などは、専用のアルゴリズムにより自動で制御されるようで、加工ノウハウがなくても、だれでもサポート除去作業ができるという特徴もあります。
サポート除去だけではなく、通常ワイヤーカットで行われる、ベースプレート切断や、研磨なども自動化されているようです。
強調されることは少ないですが、実は、ワイヤーカットも、切り離しにより製品の表面状態に影響を与えてしまう重要な工程で、造形品の形状によっては、製品をどのように切り離すかということが非常に重要となります。またベルトサンダーなどの工具も取り付け可能なので、ある程度の表面仕上げにも対応しているようです。
工作機械においても、自動バリ取り機などが存在しますので、AMにおいてもこのような自動化設備は増えていくかと思われます。
つまり海外においてAMは、ラピットプロトタイピング(試作)のみならず、最終製品用途として選ばれつつあるということから、品質の標準化が大きなテーマとなっているようです。
ODECは、AMの後加工(二次加工)技術に強みを持って造形サービスを提供させていただいておりますので、このような設備でどのレベルの後加工ができるのか、非常に興味深いところです。(現在のところは人手で行うレベルの加工精度のようですが・・・。)
今回の内容を見て考えられる点は、海外においても、AMの後加工技術は、まだまだ人手に頼るところが多く、最終製品の加工法は一般化していないという点だと思います。
金属3Dプリンターの造形品を最終製品として、いかに品質を保証でき、高精度に仕上げられるか。この点を追求することで、世界に対しても優位性のある製品を提供していけるのではないかと思いますので、引き続き技術向上に努めてまいりたいと思います。