■アディティブ・マニュファクチャリング(AM)とは?
アディティブ・マニュファクチャリングとは、何も無い状態からモノを付加的に作っていく製造方法のことを言います。 FDM方式(熱溶解積層法)の3Dプリンターのように、熱で溶かした材料を積層してモノを造形する方法などがそれにあたります。日本では「アディティブ」=「金属3Dプリンティング」と表記されることが多いです。
■AMのメリット「これまでに不可能な形状を製品に“加える”ことができる」
これまでの金属加工は、鋳造・鍛造ワークを「切削・切断・パンチング」加工するものでしたが、最近は金属3Dプリンターで造形されたワークを切削加工する、切削加工中に3Dプリンタで肉盛やコーティングを行う、異種金属や金属・非金属を一体成型するなど「加える(英語でAdd)」加工が可能になってきました。
例えば切削とアディティブのハイブリッド加工により、物理的に切削工具が入らない複雑形状の加工(例:羽の枚数が多く深いカーブを持つプロペラやインペラ)、複数部品を組み合わせた一発成形・部品点数削減(例:20点の部品の航空機の燃料ノズルを1点に)、表面やエッジの異種金属コーティング、部品の摩耗や欠損の補修(例:金型や一点物の高額部品)などが可能になります。
また内部構造を中空+梁のラティス構造にすることで軽量化と強度確保を両立できます。
■AMの今後
AM技術は、日本で本格的に導入され始めたのは、2013年ごろですが、まだまだ身近に使われている技術とはなっていません。ただし、NEDO 技術戦略研究センターが作成するレポートによると、有望な分野であることは間違いありません。
金属積層造形に関する各種の市場データから試算した2016 〜 2017年の市場と2030年の市場予測結果。
造形品自体の市場規模は、関与する分野全体の市場規模と比べて、必ずしも大きくはないが、幅広い分野での活用が見込まれるとのことですが、この中の一部分野については、ODECにおいても金属3Dプリンターを使った製品開発をサポートしています。今後の課題は、上記分野の深堀とそれ以外の活用分野を開拓していくことが重要だと考えています。
【参考資料】
金属積層造形プロセス分野の技術戦略策定に向けて(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術戦略研究センター)