製品開発・試作のサイクルタイム大幅短縮と量産まで

【第33回】金属3Dプリンターでよくあるご質問(造形コストと品質保証)

今回は、金属3Dプリンターでの製作をお客様にご提案を行っていく中で、よくご質問をされてお答えする内容をまとめてみました。これから、金属3Dプリンターを活用したものづくりをご検討されている方はぜひご参考にしていただけましたら幸いです。

 

 

Q1.今切削で作っている部品があるが、金属3Dプリンターで作れば、安くなるのでしょうか?

 

現状の部品をそのまま3Dプリンターで作っても、安くなることはありません。切削で作れる製品であれば、そのまま切削で作った方が精度もよく、コストパフォーマンスがよいです。

ポイントとしては、“切削で再現できない形状”であれば、金属3Dプリンターで製作するメリットがあります。(例えば「工具が入らない」「内部構造」「チャッキングできないほど小さい」など)

ただし、「金型が必要ない」ということが、金額・納期面において大きなメリットになることが多く、鋳造や金属プレスで製作する製品(特に開発・試作)においては、金属3Dプリンターを取り入れることをお勧めします。

 

Q2.造形品の品質保証について、ミルシートなどはありますか?

 

金属3Dプリンターの造形品(または金属粉末材料)において、既存の金属材料のようなJIS規格は現在存在しません(2020年9月24日現在)。そのため、ミルシートのような保証資料の発行はできませんが、メーカーが発行する金属粉末におけるデータシートや、当社が独自で公的機関に依頼し造形品の品質評価を行ったデータなどは提供可能です。

一方、海外の動向としては、2019年末にドイツで、DIN SPEC 17071という3Dプリンティング(アディティブマニュファクチャリング)の品質保証における初の規格が誕生しています。ただし、DIN SPEC 17071は「AM(アディティブマニュファクチャリング)に関連するシステム、材料、プロセス、従業員に対する要求を標準化した規格書」であるので、「材料や材質ごとの保証がどのように行われていくことになるのか」についてはまだ見えてこない状況です。当社も業界の最新動向に常にアンテナを張っていきたいと考えています。

 

少し長くなってしまったので、次回以降も質問事項についてまとめていこうと思います。

ほかにも不明点などがあれば、お気軽にお電話(0737-82-3335)または問合せフォームからご質問ください。

 

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