製品開発・試作のサイクルタイム大幅短縮と量産まで

3Dプリンターで製作された人工股関節とは?【第56回】

金属3Dプリンターの活用が進んでいる分野として、医療分野、航空宇宙分野、金型分野があります。

その中で、医療分野における、「3Dプリンターで作ったオーダーメード型人工関節」の記事をご紹介いたします。

 

人口股関節(帝人ナカシマメディカル)

帝人ナカシマ、3Dプリンターで滑らかな人工関節(2021年3月31日 2:00 [日経産業新聞])

 

ニュースを簡単にまとめると

●帝人ナカシマメディカルは、船舶用のプロペラメーカーであるナカシマプロペラの医療部門に源流を持つメーカーで、プロペラで培った高い曲面の加工技術と3Dプリンターの応用を強みとして、人工関節などの製造を行っている。

●2017年に国内で唯一の金属3Dプリンターを活用したオーダーメード人工股関節で承認を取得。2020年12月には3Dプリンターで作製した人工椎間板を用いて背骨を固定するシステムについて、製造販売承認を申請。

●日本の整形外科インプラント市場は2300億円程度で、人工関節は市場の半数近くを占める。脊椎も2割以上のシェアがあり、高齢化の影響で関連製品の需要は今後さらに高まるとみられる。

●帝人ナカシマは海外展開の拡大も視野に入れ、特に日本人と骨格が似ている東南アジアへの展開を計画する。

 

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帝人ナカシマ、3Dプリンターで滑らかな人工関節(日経産業新聞)

 

この人工股関節、表面のメッシュ構造と多孔質構造が重要とのこと。移植を行う際、この隙間に人体の細胞が入り込み、母材との接合が早くなることが期待されているという。このような加工は、従来の削り出し(切削)加工では難しいので、金属3Dプリンターならではの技術といえます。

 

このように3Dプリンターの特徴を生かし、3Dプリンターでしかできない製品を作っていくというのは、非常に重要なことで、私たちもどのような製品を開発できるのか?日々考えていきたいなと思います。

 

また、医療は、人体にかかわる非常に重要で専門的な分野なので、参入障壁も高くチャレンジできるかどうか難しいと感じています。ただし、インプラントなど今後どのような動きになっていくのか、製造申請や承認がどのような形になっていくのか、推移を見守っていきたいと思います。

 

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