製品開発・試作のサイクルタイム大幅短縮と量産まで

4140低合金鋼で金属3Dプリンター部品の量産が可能に?【第66回】

Desktop Metalより、積層造形法によるエンドユースパーツの大量生産向け材料として、4140低合金鋼の使用が可能になったと発表がありました。

 

Desktop Metal、金属3Dプリンターで4140低合金鋼を使用した部品の大量生産が可能に(20210709 fabcross)

 

 

ニュースの概要は?

Desktop Metalは、同社のメタルバインダージェッティング方式の金属3Dプリンター「Productionシステム」プラットフォームで、4140鋼による部品の造形と焼結に成功した。Productionシステムは特許出願中のSingle Pass Jetting(シングルパスジェッティング)技術により、メタル積層造形業界で最速レベルのプリントが可能だという。「Production System P-50」は、1年で最大69万個のパーツを、焼結した4140低合金鋼1立方cmあたり0.28ドル(約31円)のコストで製造できるとしている。

 

Productionシステム(DESKTOP METAL)

 

 

「4140低合金鋼」とは

「4140低合金鋼」は、「JIS SCM440」の相当材であり、熱処理が可能なクロムモリブデン鋼。自動車やオイル/ガスなど広範な産業で、ギア、ダウンホールツール、カップリング、スピンドル、ボルト、ナットなど、強い衝撃や高温、機械的ストレスにも耐える機械部品の材料として利用されている。SCM440は「クロモリ鋼」とも呼ばれる、構造用合金鋼で、機械構造部品に使われる一般的な鋼材です。自動車部品やボルト、ナット類によく使われています。

 

 

メタルバインダージェッティング方式とは

この「4140低合金鋼」はメタルバインダージェッティング方式と呼ばれる方法で、3D造形されるそうです。Desktop Metal社はこの方式を、「製造方法と同等の強度と機械特性を維持しながら、生産コストと時間の大幅な削減や、より複雑な形の部品が造形できる革新的なソリューション」であると語ります。このメタルバインダージェッティングという方式は、金属粉末にバインダーと呼ばれる添着材をまぜて射出成形し焼結をすることで製品の造形を行います。作り方としては、むしろMIM(金属射出成形)に近く、「金型不要のMIM」といった方が分かりやすい。HP社においても「メタルジェット3Dプリンター」という、同様の方式で3D造形をする装置を発売しており、フォルクスワーゲンの社内備品などですでに実用化されているとのこと。

 

 

 

1年で最大69万個のパーツを低コストで量産

金属3Dプリンターの課題は、低コストで量産が難しいという点にありました。その点を解決できる可能性のある興味深いニュースです。1㎤あたり31円のコストということは、既存の大量生産品に対しコストメリットのある製品を製作できるかもしれません。あとはどの程度の品質を実現できるのか、今後の動向が気になります。