製品開発・試作のサイクルタイム大幅短縮と量産まで

DfAMが金属3Dプリンター造形(AM)を普及させる!?

 

「DfAM」を考えるうえで・・・3D製作の実情

金属3Dプリンターで製作された製品は、すでに実用段階にあるということは徐々に知られつつあると思います。

一昔前は、強度などの品質に不安を感じられる方もいらっしゃったかと思います。

ただし現在では、最も厳格な安全性が求められる分野の一つである、航空機用のエンジン部品が3Dプリンティングで製作されていたり、宇宙関連、または医療分野(生体インプラントなど)においても、3D製品は活躍しています。強度や品質に関しては問題がない問いということは一般常識化してきているといってよいと思います。

 

DfAMとは何か-金属3Dプリンティング

 

それでは、どこがボトルネックとなっているのか?

それは、既存の製品や部品を3D製造に置き換えていく上で、付加価値化をつけることができない。ということであると考えます。

3Dにおける製作は、材料コストの問題や、造形スピード、二次加工の必要など、いくつかの理由により、既存の量産品の製作方法(切削加工や鋳造加工など)で実現可能なものをそのまま製作しても、品質面、コスト面で、既存工法には勝てません。

 

つまり、この「付加価値化」をどのように実現していくのか?ということが、「DfAM」のキモとなります。

 

 

1.「DfAM」とは何か

「DfAM」とは、「Design for Additive Manufacturing」の頭文字をとった略称であり、日本語で訳すと「付加製造のための設計」という意味となります。「付加価値製造(Additive Manufacturing)」とは 、3Dプリンティングのことを指します。

「DfAM」の例としては、3Dプリンターのビルドプレート上にパーツを配置するような簡単な操作もあれば、より優れた効果を得るためにCAE解析の結果を反映させたり、3Dプリンティングによってのみ作成可能なパーツを造形したり、プリントするパーツを最適化(トポロジーなど)したりするような複数の段階的な操作も含まれます。

 

すなわち、3Dプリンティング(積層造形)を前提として、そのメリットを最大限生かすための設計ガイドラインやツールであるといえるのではないでしょうか。

 

 

2.なぜ「DfAM」が必要とされるのか?

それでは、なぜ「DfAM」が必要とされるのでしょうか?

既存の製品は、3Dプリンティング技術を前提とされた設計がなされていることは少なく(当たり前のことですが・・・。)、過去の設計者の方々の知見や、製作者のノウハウなどが詰め込まれた形状(図面)改良しようというのは至難の業でしょう。

一方で、DFAM観点取り入れて、現状取り扱っている製造部品や製造工程を見直すと、工法上の問題などでこれまでに実現ができなかった形状も、判断材料として取り入れることができます。製造工程を全体を俯瞰して、どんな局面で活用できるか、どれくらいのコスト削減が可能で、どのくらいの導入効果が見込めるかに関して判断できるようになります。(ここ統合統合できる、ここは従来工法がよい。設計変更すればこの部品はコストダウンできる、など)

これを、製品や部品の設計に落とし込み、改良や改善を進めていくのです。

 

つまり、3Dプリンティングがある世界に対し、設計者もマインドセットを変化させていくこと、これが「DfAM」の必要性の本当のところだと思います。

 

さて、次回は、「DfAMの基本的な考え方」について、お伝えしていこうと思います。

 

<関連コラム>

DfAMについて考える(DfAMが3Dプリンティングを普及させる!?)【第68回】

DfAMについて考える(DfAMとAM導入はセットで考えるべき!?)【第69回】

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DfAMのこれから。どのように取り組んでいくのか?【第71回】

 

 

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