製品開発・試作のサイクルタイム大幅短縮と量産まで

DfAMを実現するソフトウェアについて【第70回目】

前回に引き続き、DfAMについて考えていきたいと思います。(前回記事:DfAMとAM導入はセットで考えるべき!?)DfAMとは、AMに最適な設計のことを指しますが、これは概念になりますので、実現するために役立つソフトウェアについて、紹介していきたいと思います。

 

 

nTop Platform (nTopology社)

nTOP Platform(以下nTop)は、今までと全く異なる方法でデジタルデザインを作成する新しい3D CADエンジニアリングソフトウェア。DfAMを実現するうえでの有力な手法である「トポロジー最適化」や「ラティス構造」など、AMに最適な形状をシミュレーションを繰り返し、デザイン作成することができる。また、B-Rep形式での描画アプローチを採用しており、計算・描画速度が速いことも特徴の一つ。これにより、自動車産業、航空宇宙産業、医療分野などに使用される高付加価値、高性能部品を迅速に設計することができる。

 

nTopology社は、エンジニアがアディティブマニュファクチャリングのために極めて複雑な部品を設計することを可能にするというビジョンで、Bradley Rothenbergが2015年に設立した会社で、ロウアー・マンハッタンでスタートしました。創業以来、航空宇宙、自動車、医療、消費財の主要エンジニアリングブランドが同社の顧客となり、高度な製造のための次世代のエンジニアリング設計ツールを構築し続けているとのことです。

 

 

 

 

FUSION360(AUTODESK社)

AUTOCADで有名なAUTODESK社の3Dモデリング用のソフトウェアです。3D モデリングのほか、CAD、CAM、CAE、PCB ソフトウェアが統合された、製品設計・製造向けのクラウドベースのプラットフォームとなっています。DfAMを実現するうえで最も特徴的な機能は「ジェネレーティブデザイン」です。トポロジー最適化と同じく、「設計要件、制約、材料、製造オプション」などを指定することで製造可能な設計を、ソフトウェアが自動的に生成してくれます。このジェネレーティブデザインは、指定された条件に合わせて、複数の形状案を作成することも可能であり、性能やコストを勘案し上で最適な形状を選択することもできます。

ジェネレーティブデザインについて(AUTODESK社ホームページ)

 

また、同社がリリースするAMに特化したソフトウェアとしては、「NETFABB」があり、AMのためのサポート設計や、ラティス構造のデザインなどを自動化することができる。

 

 

 

 

 

3DXpert(3DSYSTEMS社)

3DXpert® は、設計から後処理まで、AM ワークフローのすべてのステップに対応します。AM プロセスを合理化して、3D CAD モデルから高品質な 3D プリント部品へ、すばやく効率的に移行できます。3DXpert は、ラピッドプロトタイピングから連続生産へ破壊的にシフトするには、最高のソリューション。

弊社の造形設備は、3DSYSTEMS社製であることもあり、このソフトウェアを使用しています。サポートの設計や3D造形の最適化、ラティス構造による軽量化などにも対応しています。注意点として、ほかのソフトウェアにも同様のことが言えるのですが、ラティス最適化など各機能ごとにオプションが設定されており、すべての機能を網羅すると非常に大きなコストがかかってしまうこともあるので、必要とする機能をきちんと選定して、導入・運用を行うことも重要な点かもしれません。

 

 

Magics(Materialise社)

PBF方式の金属3Dプリンターにおいて、もっとも普及し、利用されている3D向けのエンジニアリングソフトウェアであるといえるMagics。3D造形の成功率を上げて、生産性を高めることにに重点をおいたソフトウェアであるといえると思います。ほぼすべてのファイルフォーマットのデータをインポート可能で、サポート生成の自動化や造形失敗を回避するためのシミュレーション機能なども豊富です。

また、造形精度を向上するうえで、必ず問題となる「ひずみ」に関しても、事前にシミュレーションし回避(またプリフォームを行う)できる機能をサポートしているようです。様々な形状や配置によってひずみの発生の仕方は変わってくるので、これをビッグデータ解析とAIによりシミュレーションするとのこと。

AMの現場で実際に困っている課題に対し、素晴らしい解決策を提案してくれるソフトウェアであるといえるかもしれません。

 

 

そのほか、工業用の3DCADrkdとしては最も普及している、Solidworksなども、トポロジー最適化を行うことができるCAEツールオプションを提供しています。このようなソフトウェアを使うことで、現在の設計から一歩進んだ付加価値を生み出す製品を開発することができるかもしれません。

 

 

このような製品を最適なコストで生産できるように、私たちは日々AMにおける技術開発に取り組んでいます。この記事が、今後の製品開発の参考となれば幸いです。

 

 

<関連コラム>

DfAMについて考える(DfAMが3Dプリンティングを普及させる!?)【第68回】

DfAMについて考える(DfAMとAM導入はセットで考えるべき!?)【第69回】

DfAMを実現するソフトウェアについて【第70回目】

DfAMのこれから。どのように取り組んでいくのか?【第71回】

 

 

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