今回は、AM(金属3Dプリンター)造形品における、造形密度について、解説したいと思います。
まず、造形品の密度は、材料や装置、造形条件(レーザーパラメータとも言います)により、一定ではないということが、難しい点であるといえます。装置メーカーや金属粉末材料メーカーが発表する数値は、TOPデータであり、その造形密度が保証されているわけではありません。特にレーザーパラメータが、造形密度に大きく影響を与えるため、これを材質ごとにどのように設定するのかが、造形密度を向上させるための大きなカギとなります。
まず、「なぜ密度低いと問題があるのか」という点ですが、造形品の内部に「ボア(巣)」や「クラック」が多くあれば、製品の強度に大きな影響を与えるということは容易に予想できることと思います。また、見逃せない点としては、製品の気密性にも影響を与えます。AMによって、製品内部の3D水管などを容易に作れることから、ヒートシンクや水管付き金型などがAMにより製作されることがあります。この場合、造形密度が不十分であると、気密性に問題出て、液体、気体漏れの原因となってしまうことがあります。
一般的には、99.5%以上の造形密度があれば、強度や造形品質に問題がないとされます。そこから造形密度が下がると、引張強度が落ちたり、耐性や伸びに影響が出ます。(密度数値により、どれくらい強度が落ちるのかという点については、材質によっても異なり、また現状は十分なデータもないため、明確にはお答えすることができませんが・・・・。)以上のように、造形密度というのは、AM造形品における品質を決定づける重要な要素の一つであると判断できると思います。
レーザーパラメータは、造形レシピとも呼ばれます。これは、装置メーカーや材料メーカーが提供している場合もありますが、これまでの経験上、その提供される造形レシピをそのまま利用したとしても、メーカーが発表する造形密度を達成することは難しく、個々に造形レシピを探索(材料開発とも言います)を行う必要性があります。
造形レシピの開発自体にも、時間がかかるのですが、その後もレーザー出力は徐々に減衰していくという特徴もありますので、造形密度の確認とパラメータの調整は継続的に行っていく必要があります。
これまでにのべてきた通り、金属3Dプリンターで造形品の品質を保証するにあたって、造形密度は非常に重要となります。難しい点としては、造形されたものを目視で確認しても、微細な欠陥を確認することが難しいため、造形密度評価に関しても、ノウハウが必要となってきます。
ODECは、一回一回の造形ごとに、その造形品の密度に問題がないか、社内基準に照らし合わせて確認を行った上、納品時にご報告させていただいていただき、造形品の品質保証を行っております。
他社でAM造形品を製作し品質に問題があるものや、自社内での3D製作においても、造形品質に関してご相談いただけましたら、弊社での取り組みやノウハウをもとに最適なご提案をさせていただけるかと思いますので、ご検討ください。