今航空機業界や、自動車業界で「トポロジー」と呼ばれる設計手法が広がりを見せています。今回のコラムでは、この設計手法について解説を行っていきたいと思います。
このトポロジー設計(トポロジー最適化)を簡単に説明すると、「製品の利用シーンで想定される構造的な制約、荷重・拘束条件の下で、設定した設計空間(材料分布可能な領域)において、最も効率のよい材料の分布を見つけること」と定義されています。
この「構造的な制約」というのは、「別の部品との嵌合」や、「干渉部分」「体積・質量」であったりします。
つまり、『ある製品(ブラケット)の質量を20%減少させて、軽量化したい』という設計意図でトポロジー最適化を行う場合、構造的な制約は、「質量20%減少」「ブラケット固定部の形状(穴)」「別部品との干渉部分」ということとなります。また、そのブラケットが機能をするための荷重条件を設定し、安全率を解析していきます。
トポロジー設計(トポロジー最適化)で実現できることは以下のものがあげられます。
(1)製品の軽量化目標達成
(2)材料使用コストの削減
(3)既存製品のコストダウン(使用部品の削減など)
(4)製品構造の問題解決手段(耐久性など)
(5)既存の考え方では思いつかないような、新規性の高いデザイン
引用:Ansys トポロジー最適化解析機能ご紹介(サイバネットチャンネル)
このように、ある条件を設定すると、ソフトウェアが、条件に最も合う形状を提案してくれるということが、「トポロジー最適化」によるモデル作成手法の簡単な理解といえると思います。
構造(条件)の不要な形状(材料)を削除してしまうこと。これがトポロジー設計(トポロジー最適化)の最大の特徴で、最高に軽量化した製品で、最大のパフォーマンスを発揮させることができるようになります。
また、ソフトウェアが提案する形状は、これまでの発想からは大きく外れた異形形状となることが多くあり、工業デザインとして「無駄のない」「(実は)最もシンプル」で革新的なものとなる可能性も広がります。
ただし、この「トポロジー最適化された形状」は過去の経験や従来の設計手法からは大きく外れたものであるがゆえにこれまでの製造法で作ることができないことがあり、これを実現するためには、金属3Dプリンターでの製作(アディティブ・マニュファクチャリング)が不可欠となってきます。
さて、次回は、トポロジー設計の種類やソフトウェアについて語っていきたいと思います。
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