前回は、トポロジー設計(トポロジー最適化)とは何かということを記事にいたしました。
今週は、トポロジー設計の種類やトポロジー最適化が可能なソフトウェアについて解説していきます。
トポロジー最適化では、何らかの設計変数を使って材料分布を求めていくわけなのですが、その方法にはいくつかの種類があります。
①均質化法
均質化法は下図に示すように微小な周期構造を持つ複合材料の平均化された材料定数を算定する方法である。
周期性の最小領域を基本周期領域と呼ぶ。
1)許容設計領域が長方形の空隙を有する基本周期領域からなる複合材料からなるとし、
2)許容設計領域を有限要素に分割して
3)各要素の基本周期領域の長方形空隙の縦横の辺の長さと長方形の角度を設計変数とし、
4)コンプライアンス最小を目的関数、
5)材料の総量を制約条件
とする位相最適化手法を均質化法と呼ぶ。
②密度法
均質化法は、実際に空隙を有する複合材料を用いており、これを用いた位相最適化は物理的な意味がはっきり
としているが、一方で、計算アルゴリズムが複雑になる。そこで、材料の密度を変化させることができ、ヤング
率が密度の「べき乗関数」が設定可能な仮想的な材料を想定し、目的関数が最小となるよう許容設計領域内の密度分布を決定する方法が密度法です。SIMP法ともいわれます。計算が比較的容易であることや、弾塑性材料など非線形材料へも適用できるメリットがあるが、仮想的な材料なので中間密度部分の理論的な解釈が困難などの問題点がある。
③レベルセット法
この方法は、密度法における「中間密度部分(グレースケール要素とも呼ぶ)」を最適解より除外しようということが提案のコンセプトであり、レベルセット関数と呼ばれるスカラ関数の符号により材料分布を表現する。具体的には、レベルセット関数の値が正であれば、その位置は物体領域内、逆に負であれば空洞領域とみなす。この帰結として、レベルセット関数のゼロ等値面(ゼロレベル境界)が物体領域と空洞領域の境界となる。
トポロジー最適化を行うことができるソフトウェアは上記のいずれかの方法をもとに、最適化の計算を行っているようです。
Fusionでは、トポロジー最適化ではなく、『ジェネレーティブデザイン』という機能名となっています。
Fusion 360のジェネレーティブデザインは、自然が進化する手法をデザインで模倣するものです。
ソフトに軽量化や安全率の目標数値、材料や製造方法、を入力計算し、設計の代替案を生成します。
計算されたモデルは、スカルプトモードで編集可能なジオメトリに変換されます。
Brepモデルの為、解析計算もすぐに行うことが可能です。
2. Solidworks( Simulation Professional、またはPremium)
SOLIDWORKS のトポロジー最適化機能は、応力制約、固有値制約を用いて形状生成することができます。
また、解析結果をメッシュボディーに直接出力できます。メッシュ BREP ボディという形式で、簡単な編集も可能です。また、3D Systemsが提供する3DXpert for SOLIDWORKSを利用することで、3Dプリントの為の内部ラティス構造を作成することが可能です。
PTCのトポロジー最適化計算は、結果形状がポリゴンではなく、B-repになるため、そのままの利用が可能です。
これまで最適化形状をそのまま製品に使うことは難しく、生成された形状を参考に、新たにモデリングを行うのが主流でしたが、Creoではいち早くB-rep形状への出力と、フリースタイルモデリング環境での素早い編集を可能にしました。
4. Altair Inspire | solidThinking
Altair Inspireは、HyperWorksを演算エンジンとして利用し、ジェネレーティブデザイン / トポロジー最適化 / ラピッドシミュレーションを提供しています。
最も長い歴史を持つソフトの1つで、構造特性に優れたコンセプトを素早く簡単に生成でき、コスト、開発時間、材料消費量、製品重量の削減につながります。
最適化されたラティス構造を生成し、3Dプリンティング向けに.stl形式でエクスポートできます。
また、PolyNURBSフィットツールを使って、をジェネレティブデザイン結果にフィットするようCAD形状を作成可能です。
ANSYS Mechanicalは、耐久性のある軽量なコンポーネントを設計するためのツールを提供します。
目標を容易に定め、製造要件が満たされるようにコントロールし、材料の最小厚さを設定し、削除する部分を決めることができます。
計算結果はSTLデータとして出力でき、「ANSYS SpaceClaim」を利用し、3Dプリンティングまたは製造のためのCADデータとして活用することができます。
また、複合材料部品、3Dプリンティングでしか作成できない部品、骨や生体組織をシミュレートすることが可能です。
このように様々なソフトウェアでトポロジー最適化を実現することが可能です。構想設計の段階でトポロジー最適化を取り込むことで、幅広い可能性の中、シミュレーションを繰り返しながら、最も理想的な形状をデザインしていくこと、これがこれからの設計の一つの方向性ではないかと思います。
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