前回はステンレスについてご説明いたしました。(前回の記事はこちら)
今回は金属3Dプリンターで造形可能なアルミウム材料編です。
【アルミニウムとは】
「アルミ箔」、「アルミサッシ」、一円硬貨などアルミニウムを使用した日用品は数多く、最も生活に身近な金属といえます。アルミニウムは鉱石のボーキサイトを原料としてホール・エルー法という製法にて生産されます。
一円硬貨は純度100%の純アルミニウム製ですが、種々の元素を添加して合金としたアルミニウム合金も世の中には数多く存在します。
アルミニウム合金とすることで、純アルミニウムにない材料特性が付加され様々な分野、用途で活用をされています。金属3Dプリンターで使用されるアルミニウム材料も、このアルミニウム合金となります。
【金属3Dプリンターで造形可能なアルミニウム材料(代表例)】
AlSi12
シリコン入りのアルミ合金です。相当材としては、ADC1にあたります。機械加工で一般的に使用されるADC12と比較すると耐食性に優れますが、硬度や引張強さなどの金属強度の面では劣ります。主には、航空宇宙部品やダイカスト製品の代用、治工具などに活用されています。
AlSi10Mg
シリコンとマグネシウムの合金系で、耐衝撃性や耐力の強さに特徴があります。また耐食性についてもADC1と同様の強さをもちます。相当材としては、ADC3にも似ているとされます。マニホールド、ブレーキドラム、ギヤボックス、ミッションケースなどの自動車部品や、航空機部品、小型用エンジン部品などに利用されています。
様々なアルミニウム合金の粉末材料が材料メーカーより販売されていますが、造形を行うためには、その材料に応じたパラメーター(レーザーの送り速度、スポット径、積層厚など)の調整を行う必要があります。装置メーカーから提供される標準材料及びパラメーターのみでは限定されるため、材料及びパラメーターの開発を進めていく必要があります。
最後に、アルミニウム自体は、切削性もよく機械加工に非常に適している材料です。金属3Dプリンターで製造するメリットが少ないようにも感じられますが、ダイカストなどの鋳造を考えた場合には、メリットを出すことが出来るかもしれません。鋳造では、製品を一つ作るのには金型が必要となります。
金型を作るためには、それなりのコストと時間が必要となります。また、その金型を管理・維持も必要となってきます。3Dプリンターであれば、「金型レス」で製造を行うことが出来、また再度製作を行う場合にもデータさえあれば再現をすることが出来るので、維持コストはかかりません。
これが金属3Dプリンターでアルミニウム製品を製造する大きなメリットとなります。
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