AM(3Dプリンター)関連のサービスを行っていると、様々な用語や単語が出てきます。
それほど一般的ではないものも多いので、今回はAMに関連する用語・単語を解説していきたいと思います。
AM(Additive Manufacturing)は、3Dプリンティング技術による製造方式のことを指す言葉です。
2020年にJIS規格B9441として「付加製造(AM)―用語および基本概念」として定義がようやく規格化された。その定義によると、付加製造またはAMとは、「3Dモデルデータを基に、材料を結合して造形物を実体化する加工法。多くの場合、造形層を積み重ねる形態(積層造形)をとる。切削などの除去加工および成形加工と対照的な方法」と定義されています。
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【第21回】アディティブ・マニュファクチャリング(AM)の今後は?
JIS規格B9441において、「付加製造のうち造形層を積み重ねることによって3Dの造形物を実体化する加工法。」と解説されています。3Dプリンターにおける製造方法は、「PBF(パウダーベッド方式)」「DED(デポジジション方式)」「FDM(熱溶解積層)」「光造形法(SLA、DLP)」「インクジェット方式」などさまざま存在しますが、そのほとんどが下から上へ形状を積み上げる積層方式をとっています。
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【第35回】金属3Dプリンターの造形方式による違いとその特徴
「DfAM」とは(Design for Additive Manufacturing)の略で、 AM(3Dプリンティング) を活用したものづくりに取り組む際の設計手法やデザインガイドラインを意味します。
「DfAM」の例としては、3Dプリンターのビルドプレート上にパーツを配置するような簡単な操作もあれば、より優れた効果を得るためにCAE解析の結果を反映させたり、AM(3Dプリンティング)によってのみ作成可能なパーツを造形したり、プリントするパーツを最適化(トポロジーなど)したりするような複数の段階的な操作も含まれます。
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「STL(Stereolithography)ファイル」とは3D CADソフト用のファイルフォーマットの一つで、今ではほとんどのソフトにサポートされています(windows10でも標準で閲覧することが可能です)。特にAMにおいては、造形を行う際の処理など、最も使用されているファイルフォーマットです。STLデータは、3次元の立体形状を小さな三角形(ポリゴン)の集合体で表現するシステムです。そのためSTLデータでは曲面を表現できず、本曲面になる部分ではモデルを形成する三角形を細くして曲面を再現します。
「STEP(STP)ファイル」とは、3DCADソフトで作成された3Dデータを相互やり取りするために使用される中間ファイルの形式の一つです。ISO(国際標準化機構)によってデータ形式を定められています。いくつか存在する中間ファイルの形式の中でも、特に多くの会社で使用されています。
STEP形式の中間ファイルの特徴は、データを変換する精度が高い点です。そのため、3次元モデルの内部が詰まっているソリッドデータをやり取りする場面での使用をお勧めします。3Dプリンティングを行う際には、データ修正が必要となるケースが多く、そのため、このSTEP形式での入稿をお願いするケースが多いです。
STEPファイルの次によく使用される中間ファイルの形式が「IGES(IGS)」です。ANSI(米国国歌規格協会)により規格化されてた形式で、3Dモデルの図形データを特殊な文字列に変換することでデータの受け渡しをしています。以前は、最も有名なファイル形式でしたが、ISOにてSTEPが標準規格とされたことから、STEP形式がより一般的になりました。IGES(IGS)は中身が詰まっていない、面だけで形状を表現するサーフェスデータのやり取りを行う際に多く使用されています。
Parasolidは、ソリッドベース3DCADの中間ファイルで、アメリカの企業が開発しました。ファイル拡張子は、「.x_t」ないし「.x_b」と生成されます。一般的に使用される、STEP形式やIGES形式などの中間ファイルの中で、最も精度が高いデータがやり取りできるといわれています。また、Parasolidもバージョンが複数あり、高いバージョンであれば精度が高くなりますが、ソフトよってはバージョンが原因で読み込めないことがあるようなので、注意が必要です。