製品開発・試作のサイクルタイム大幅短縮と量産まで

【第30回】金属3Dプリンター設備の選び方(EOS社)


■EOS社  代表的な機種:EOS M 290 EOS M 400-4 EOS M 100


EOSINT M290

 

<メーカー標準材料(主要材料)>

ステンレス
アルミニウム
IN718
マルエージング鋼
チタニウム合金(EOS Titanium Ti64)
ニッケル基超合金 (EOS NickelAlloy IN718)

 

金属3Dプリンター老舗であるEOS社は、金属3Dプリンター設備の世界シェア1位です。おおよそ50%弱のシェアを占めています。1989年、ドイツのミュンヘンにDr.Hans J Langerにより設立され、創業より一貫して3Dプリンターの性能を追求し、売り上げの15%を開発に継続投資している企業。この研究開発を重視する姿勢はEOS社の特長であり、十分時間をかけて検証した上で新製品や新機能をリリースすることで、精度、スピード、品質、コストの最善のバランスを追求した3Dプリンターを世界に提供し続けている。

 

日本国内での総代理店は「NTTデータエンジニアリングシステムズ」です。同社は、1993年からEOS社の代理店となり、日本国内における金属3Dプリンターの販売サポートを行っています。また、Additive Manufacturingでのものづくり拠点であるAMデザインラボも大阪府箕面市に構えており、設備だけでなく、造形・アプリケーションまでを含めた包括的な技術サポートを実現しています。

 

>>EOS社の金属3Dプリンターの設備ラインナップ一覧(NTTデータエンジニアリングシステムズHPへ)

 

EOS社の金属3Dプリンターは、400Wレーザが4本搭載された、400×400×400の造形サイズに対応することが可能な「EOS M 400-4」や、250mm x 250mm x 325mmの造形サイズで、精度と解像度、表面品質に優れ、高密度で機械特性の高い部品を製作できる「EOS M 290」、造形サイズは、100φまでと小型ですが、M290と同等の造形品質が発揮できる「EOS M 100」が主要なラインナップになっています。

 

 

この中で、最も代表的な「EOS M 290」についてご紹介いたします。

 

【特長:高性能なレーザ性能】

EOS M 290には最新の400Wのファイバーレーザーが備わっており、フォーカス径を小さくすると高い細部の形状再現性が得られ、複雑な部品も製作が可能。フォーカスを調整することで生産性向上を図れるだけでなく、プロセス制御の幅を高めることができます。

 

【特長:ダイレクト造形と高い品質管理機能】

EOS M 290は、金属素材を使って3Dデータのみでダイレクトに製品を造形することが可能です。さまざまな金属の種類に対応しており、試作品だけでなく金型や最終製品まで製作できるため、スピード向上やコストダウンが図れます。ほかにもEOS M 290には「EOSTATE」というシステムがあり、データ管理や内臓カメラによる監視、レーザー出力の監視などの品質管理が可能です。この品質管理機能を活用することで、より高品質な製品を造形することができます。

 

【特長:優れたコストパフォーマンス】

ラピッドプロトタイピングによる試作コストの削減はもちろん、そのまま最終製品の製造用途としても使用できるので、商品開発にかかるコストを大幅に削減することに成功しています。特に最終製品としての使用については、EOS社の金属3Dプリンターは、世界的なシェアも大きく、製品・部品によっては「EOS M 290で製作すること」が品質上の規定とされているケースもあります。このように造形物が最終製品として使用可能な品質保証がすでに行われていることも、EOS社の金属3Dプリンターの大きな特長です。

 

このようにトップシェアで、造形物の品質保証もしっかりと用意され、サポート体制も万全なEOS社の金属3Dプリンターですが、3Dのサービスビューローの視点から見ると、デメリットに感じる点もいくつかあります。

 

①造形パラメータ(レーザパラメータ)について

金属3Dプリンターで造形を行うにあたって、造形パラメータ(レーザパラメータ)は最も重要な要素となります。通常は材料ごとに標準パラメータが用意されており、この通りに設備を運用すれば一定の造形品質の製品が出来上がるのですが、材料や形状によっては、十分な造形品質を実現できないことがよく存在します。

この時に、パラメータ調整を行うにあたってコストがかかり、またパラメータ調整を行うと、EOSの利点である造形物の品質保証(物性値など)が意味をなさなくなる可能性があります。

 

②設備メンテナンスや運用コストについて

これは、EOS社の金属3Dプリンターに限った話ではないのですが、設備導入にかかるコストが非常に高額で、きちんと品質が保証されている反面、メーカーより提供される金属粉末材料は、比較的高額であるという点があります。また設備の入れ替えやメンテナンスコストなども考えると、事業計画・製造計画をしっかりと作成したうえで導入を行わないと、結局運用をしていくことができなくなる恐れがあります。

 

まとめると、金属3Dプリンターでのものづくりの方向性がはっきりしていて、なおかつ製品やサービスに対する適応がはっきりとしているのなら、EOS社の金属3Dプリンターが最も良いと思います。立ち上げまでの期間が非常に短く、国内でのサポートもトップレベルなので、あなたの会社のものづくりを大きく進化させてくれる設備であると考えます。

 

設備導入に関するお問合せもお気軽にどうぞ。

実際に金属3Dプリンター造形を行っている現場の目線から、皆様の疑問にお応えさせていただきます。

 

■これまでにご紹介した金属3Dプリンター(過去コラム)

・3D SYSTEMS社(ProX DMP 300 ProX DMP 200など)

・EOS社(OS M 290 EOS M 400-4 EOS M 100など)

・Arcam(Q10plus/Q20plusなど))

・Concept Laser(M2 Single/Dual Laser、Mlab、X LINE 2000Rなど)

 

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