製品開発・試作のサイクルタイム大幅短縮と量産まで

【第29回】金属3Dプリンター設備の選び方(3D SYSTEMS社)

■はじめに

 

日本の金属3Dプリンターにおける市場シェアは3%と世界から5年は遅れているといわれております。

それでも、徐々にではありますが、日本における金属3Dプリンターの認知も広がってきたのかなと思います。

また、設備の導入を検討する企業が今後も増えていくのではないかと思いますが、問題となるのが設備選定です。

 

当社も金属の3Dプリンターは「どのメーカーの」「どの装置を選べばよいのか」と導入の際には、非常に悩みました。現在市場にリリースされている3Dプリンター及びメーカーについて、ご紹介と機種選定のポイントとなる部分をご紹介していきたいと思います。

 

少しでも皆様のご参考になれば幸いです。

 


■3D SYSTEMS 代表的な機種:ProX DMP 300 ProX DMP 200


<メーカー標準材料>

チタニウム材料(Ti Gr5/Ti Gr23/Ti Gr1)

ステンレス鋼材料(17-4PH/316L)

マレージング鋼材料(Maraging Steel (1.2709))

コバルトクローム材料(CoCrF75 /CoCr)

アルミニウム合金材料( AlSi10Mg/AlSi7Mg0.6 / AlSi12)

ニッケル超合金材料(Ni625 /Ni718)

※2020年3月5日現在

 

弊社が導入している金属3Dプリンターのメーカーです。

 

樹脂の3Dプリンターでは、米ストラタシスと業界シェアを二分している3D SYSTEMS社。同社は、米国サウスカロライナ州に本社を置いており、3Dプリンター業界を牽引し続けてきた世界的なリーディングカンパニーです。1987年に設立者のChuck Hull(チャック・ハル)が、世界に先駆けて光造形3Dプリンターを製品化して以来、独自技術を搭載した3Dプリンターを世に発信し続けています。

 

金属の3Dプリンターにおいても、ProX DMPシリーズを中心に、高品質なPBF方式の金属積層造形機をリリースしています。最も大きな特徴は、「微細形状の再現性」「面粗さのきれいさ」「材料コストの低減」です。

 

「微細形状の再現性」という点では、3Dプリンターの導入を検討する理由の一つ「複雑・微細形状の部品製作」を強力に推進します。これを最も高いレベルで対応できるのが、同装置の強みです。また仕様によってはそのまま製品として使用することも可能な「面粗さ」や、「材料コスト」も他メーカーの材料(標準材)と比較しコストが安めなので、製品を量産するための価格競争力を持つことができる設備だと考えています。

 

>>3DSYSTEMS社の金属3Dプリンターの設備ラインナップ一覧

 

一方で設備構造上、造形途中でエラーが起こりやすいというデメリットもあり、エラーが起こるとその造形物はすべて作り直しになってしまうというリスクがあります。

 

造形用のパラメーターも自由に設定することができるため、自社で金属3Dプリンターを使って、独自の製品開発を進めていく上では、非常におすすめの機種だと思います。一方で、造形物の品質保証という面では、同じ金属3DプリンターメーカーのEOS社などと比較すると劣る面が多いと感じています。

 

次回以降もいろいろなメーカーの設備紹介をすすめていきたいと思いますので、皆様お楽しみに。

 

■これまでにご紹介した金属3Dプリンター(過去コラム)

・3D SYSTEMS社(ProX DMP 300 ProX DMP 200など)

・EOS社(OS M 290 EOS M 400-4 EOS M 100など)

・Arcam(Q10plus/Q20plusなど))

・Concept Laser(M2 Single/Dual Laser、Mlab、X LINE 2000Rなど)

 

このコラムカテゴリーの記事一覧はこちらから

「金属3Dプリンター設備」一覧