製品開発・試作のサイクルタイム大幅短縮と量産まで

【第31回】金属3Dプリンター設備の選び方(Arcam)


■Arcam(GE additive)  代表的な機種:Q10plus/Q20plus、A2X、Spectra L/ H


 

【主要な対応材質】

・チタン合金 Ti6Al4V Ti6Al4V ELI

・純チタン

・チタンアルミ合金 Ti-Al

・コバルトクロム CoCr

・インコネル Inconel718

・ステンレス SUS316L

 

Arcam AB(アーカム)は、1997年にスウェーデンで設立された、3dプリンターの機器製造メーカーです。主に整形外科インプラントおよび航空宇宙産業で製造するための革新的な金属3Dプリンター設備とソリューションを提供しています。また、電子ビーム溶解法(EBM(R))に関しては、圧倒的なシェアを持ち、関連する特許を200以上も保有しています。EBM(R)も同社の登録商標です。2016年にはGEがTOBにてアーカムの株式を取得し、事実上のGE傘下企業となっております。

 

■電子ビーム溶解法(EBM)とは

金属粉末の3Dプリンターは、これまでにご紹介してきた、3DsystemsEOSのように、レーザービームによる造形方法の他、電子ビームによる造形方法も存在しています。電子ビームとは、高真空中でフィラメントを加熱し放出された電子を電磁コイルでコントロールし照射するビームのことで、この電子ビームを金属粉末に照射して溶融する仕組みです。高真空中で照射される電子ビームは、レーザービームに比べて高出力、高速であり、精密な金属パーツを正確に3Dプリントすることができます。

 

また、電子ビームは、上記のレーザービームに比べて高出力、高速なのが特徴であり、金属粉末全体を一定温度まで加熱した後に、造形部分に高融点の電子ビームを照射することから、レーザー焼結法などで懸念される残留応力による形状変化は起きないとされています。またチタンやコバルトクロム、インコネルなど高融点が必要となる材質の造形にも強みを持っています。

 

一方で、造形物の密度や精密さにおいては、レーザ焼結法に劣るので、要求される仕様によりどのような造形法を選択するのかをよく検討する必要があります。

 

【Arcamの特長】

●高密度、鍛造並みの機械強度、圧倒的な高速造形を行うことで、3D造形品の生産性向上が図れる

●残留応力による歪みがなく、良質金属造形が実現可能

●金属パウダーのリサイクル率95%以上を実現することで、収益性が向上

 

Arcamは、GE傘下となったことで、同社のEBM技術をもとにした大型で高速な金属AM製造システムを次々とリリースしています。このGE Aditiveは、航空機業界を中心に金属3Dプリンターの適応をさらに進め、サプライチェーンごと作り替えていくという戦略を掲げています。この中で、Acarmの設備は非常に重要な地位を占めており、この設備・製造方法がスタンダードになっていく可能性があります。

 

当社としては、精密で強度も含めた高品位な造形品へのこだわりをもって、造形サービスの提供を行っているので、EBMを選択することはありませんでしたが、金属3Dの最新のテクノロジーの動向をしっかりと注視しながら、事業を行っていきたいと思います。

 

 

設備導入に関するお問合せもお気軽にどうぞ。

実際に金属3Dプリンター造形を行っている現場の目線から、皆様の疑問にお応えさせていただきます。

 

■これまでにご紹介した金属3Dプリンター(過去コラム)

・3D SYSTEMS社(ProX DMP 300 ProX DMP 200など)

・EOS社(OS M 290 EOS M 400-4 EOS M 100など)

・Arcam(Q10plus/Q20plusなど))

・Concept Laser(M2 Single/Dual Laser、Mlab、X LINE 2000Rなど)

 

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