このトポロジー最適化(トポロジー設計)を簡単に説明すると、「製品の利用シーンで想定される構造的な制約、荷重・拘束条件の下で、設定した設計空間(材料分布可能な領域)において、最も効率のよい材料の分布を見つけること」と定義されています。この「構造的な制約」というのは、「別の部品との嵌合」や、「干渉部分」「体積・質量」があげられます。また、このトポロジー最適化はソフトウェアにより提案されるので、設計の初期段階に組み込むことで、最も効率のよい形状を、迅速に作成できるテクノロジーとされています。
また、トポロジー最適化により導き出される形状は、既存の概念にとらわれない形状となることが多いので、製作を行うためには、AM(3Dプリンティング)と同時に考えることが必要となってきます。
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ラティス構造とは枝状に分岐した格子が周期的に並んだものを指します。形状はトラス構造に類似していますが、積層造形で用いられるラティス構造は、必ずしも三角形状に並んだ状態ではなくもっと広義に解釈されています。このラティス構造が果たす目的の多くは「強度を維持した状態での軽量化」となります。AM(3Dプリンティング)における独特な形状(構造)であるといえます。またこのラティス構造は軽量化のみならず、医療分野におけるインプラントなどへ適用することにより、生体適合性を向上させる機能にも期待されています。
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ジェネレーティブデザインとは、設計者がコンピュータ上のソフトウェアに一定の情報を入力することで、なにもない状態から最適な製品設計を生み出すことができる技術です。入力する情報は、使用したい材料やその重量、製造プロセスなどの各種パラメータを指し、人工知能(AI)が受け取ったパラメータから要件に当てはまる3Dモデルを生成します。この「ジェネレーティブデザイン」というキーワードは、FUSION360(AUTODESK社)が広めたとものであるといわれています。トポロジー最適化との違いが分かりづらいところですが、トポロジー最適化は「既存の設計(CADDATA)に特定条件を設定し、最適な形状を導き出す」ことに対し、ジェネレーティブデザインは、「最初に条件を設定し、何もないところからソフトウェアが形状を作り出す」という違いがあります。またソフトウェアによる計算結果により数十個~数百個もの様々な形状が自動計算・生成されるので、製品コンセプトを決める際にも様々な条件を加味してデザインを決めることが可能です。
リバースエンジニアリング(Reverse engineering)とは、機械を分解したり、製品の動作を観察したり、ソフトウェアの動作を解析するなどして、製品の構造を分析し、そこから製造方法や動作原理、設計図などの仕様やソースコードなどを調査することであると定義されています。ただし、製造業においてのリバースエンジニアリングは、部品・製品から設計図を作ることを意味しています。通常の生産プロセスにおいては、「①図面などのCADデータを作成する」「②CADデータを解析・検討する」「③CADデータをもとに部品・製品を試作し生産」「④部品・製品の完成」というプロセスとなりますが、リバースエンジニアリングにおいては、「④完成した製品」をもとに、形状測定(3Dスキャンを行う場合が多い)を行い、CADデータにおこしていきますので、通常のプロセスとは「逆(=reverse)」の「エンジニアリング(=engineering)」と呼ばれています。